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山本康正

2025年を制覇する破壊的企業 (SB新書) 新書 – 2020/11/6
未来を予測することは可能ですがそれが正確なことかどうかはまた別です。
「2020年に出版され2025年を予測する本」
その本を2025年に読むということは性格悪いことだとは分っています。
「元・米ニューヨーク金融機関×ハーバード大学院理学修士×元グーグル×ベンチャー投資家」という肩書を持ち「テクノロジーとビジネスの両方の最先端を知っているのは私の大きなメリットです。」と豪語する著者がどのように予測したかも興味があります。私のような凡人からはこのエリートが大失敗してると、ちょっと嬉しい感じもします。意地悪ですね。
内容は可もなく不可もなくというところでしょうか。凡人のわりに随分と高ビーな物言いですね。でも5年という期間は微妙です。5年くらいでGAFAやトヨタ自動車などが業績不振でつぶれるわけもなく、スタートアップがMicrosoftを買収することもできません。やっぱり、最低でも10年くらいかな。
GAFA+Mは2025年でも前進力は失われていません。停滞すると死んでしまう生き物のようです。テスラは好調と言ってよいと思いますし、イーロンマスクは政権入りを果たしましたのでアメリカのメインストリームに躍り出るのでしょうか?
スタートアップや既存企業の5年間の結果はまだら模様です。あれほど期待されたインポッシブル・フーズと代替え肉市場は低迷してインポッシブル・フーズは経営危機に陥っているといっても過言ではありません。ロビンフッド、クラウドストライク、ショッピファイは順調です。既存企業を脅かす存在です。
既存企業の中でウォルマートに着眼されているのはさすがです。
2020年に予測されている新ビジネスの種で大きく花開くのはこれからでしょうか。
勿論AIにも言及されていますが、AI関連の急拡大は著者も予想できなかったのではないでしょうか?
NVIDIAやTSMCの大躍進、ChatGPTをはじめとする生成AIの急進歩は2020年に予測困難だったでしょう。
2030年に生きていたら、改めて読んでみたい本です。
もう一つ、すべてが理屈通りいくほど世界は単純でないように思います。歴史では「何でこんなことするの?」という予測不能の事態も良くあります。50年経つとそれが普通になったり、より大きな問題としてとらえられこともあります。40億年の地球歴史の中で1万5千年ほどの人類歴史、その中で寿命100年程度の個人では見られることがごく少ないのは無力感にさいなまれます。
2025年を制覇する破壊的企業 (SB新書) 新書 – 2020/11/6
説明
コロナでテクノロジーの進化は10年早まった!
2020年1月、Amazonはアレクサとガソリンスタンドを交信するサービスのデモをテクノロジーの年次祭典CESで発表した。
これまで家の中のものとしか交信しなかったアレクサを屋外と交信させたこの発表は、Amazonが都市全体のデータを取り、ビジネスを広げていこうという意思を示している。
テクノロジーの進化がビジネス、はたまた我々の生活自体を大きく変えることはいうまでもない。
本書は、Google、Amazon、Facebook、Apple、Microsoft、Netflix、テスラ、クラウドストライク、ロビンフッド、インポッシブル・フーズ、ショッピファイという、2025年の世界に大きな影響力を持つ世界最先端11社を分析することで、5年後を読み解く未来予測書 である。
著者は、「元・米ニューヨーク金融機関×ハーバード大学院理学修士×元グーグル×ベンチャー投資家」というテクノロジーとビジネスをつなぐ稀代の経歴 をもつ。ここでのポイントは、ベンチャーキャピタリストが未来予測をするということにある。
テクノロジーに関する未来予測はさまざまな視点から提示されているが、アカデミア、エンジニア、ジャーナリストが行う未来予測には決定的に欠けている点がある。
それは、ベンチャーキャピタリストが行う「どのように投資し、儲けるか」という観点だ。
なぜなら、テクノロジーはその革新性だけではなく、ユーザーに受け入れられなければ、広く普及することはないからだ。
本書は、そんなテクノロジーとビジネスの交差点にいる同氏がファクトベースで2025年の未来を描く ものである。
【目次】
はじめに 5年後の未来はこの11社が決定づける
・2025年12月、アフターコロナの近未来
・GAFAだけ見ているのは日本だけ
第1部 2025年はどうなっているか?
第1章 世界最先端11社の目論見と3つのメガトレンド
・[Google]検索後の世界から検索前の世界へ
・[Amazon]アレクサを屋外へ進出、人の生活すべてを取りに
・[Facebook]「会うべき時に会いたい人に会える」を実現
・[Apple]人間の五感すべてを奪う
・[Microsoft]BtoBの王者として、すべての企業のインフラに
・[Netflix]リアルタイムにシナリオが変わる映像をつくる
・[テスラ]エネルギー問題を0にする
・[インポッシブル・フーズ]大豆肉で二酸化炭素を激減させる
・[ロビンフッド]金融業界をひっくり返し、誰もが投資をする時代を実現
・[クラウドストライク]これまでのセキュリティの概念を覆す
・[ショッピファイ]10兆円ベンチャー、楽天を破壊する
・それでもBATHよりGAFAがすごい
・[メガトレンド1]業種の壁崩壊とコングロマリッド化の再来
・[メガトレンド2]ハードでもソフトでもなく体験が軸に
・[メガトレンド3]データは新時代の石油
第2章 業種の壁崩壊とコングロマリッド化の再来
・コングロマリッドの概念が変わった
・利益0でもいい Apple Cardの衝撃
・ハードからソフト進出は難しい
・あらゆる業種のトップ3がGAFAに
・本業を決めない企業が勝つ
・小売りなのにコロナで一人勝ち ウォルマートの秘密
・VISA、Master、Amexが淘汰される理由
・激変する業種1:物流――最高のサービスの基軸になる
・激変する業種2:モビリティー――ロボタクシーがUberを破壊
・激変する業種3:映像――ディズニーがビジネスの究極系に
・激変する業種4:ヘルスケア――Appleクリニック誕生!?
・激変する業種5:運輸――時速1,000kmのリニアが生まれる
・激変する業種6:建設――Amazon、スマートホームを狙う
・激変する業種7:農業――東京の20F建てビルが畑に
・激変する業種8:セキュリティ――社内と社外のネットの境界がなくなる(クラウドストライクの話)
第3章 ハードでもソフトでもなく「体験」が軸になる
・究極のおもてなしの世界
・なぜスマホは2年契約なのか?
・5年後、PCが役目を終える
・車は2カ月ごとに性能がよくなる
・テスラが「広告費0・ディーラー0」でも売れる理由
・イーロンマスクの大戦略
・ベジタリアンだって肉の食感がほしい
・AIのないスマートスピーカーはすたれる
・「売れない」が失敗でなくなる
・Zoom、コロナ中20日で1億人増
・コロナ中、Netflixが次々と会員に解約を迫った理由
・水道、電気、ガスもネットと統合
第4章 データは新時代の石油
・データは「情報のバランス」を取るもの
・Apple vs Googleのデータ戦争
・データ権利はどこが握るか?
・ハードは注意を引くエサでしかない
・旅館の女将が出す茶菓子が変わる
・1分ごとに変化する航空券の値段
・Apple Watchで不倫がバレる
・テスラ保険の誕生
・証券がレコメンドされる
第2部 2025年を生き抜く処方箋
第1章 5年後に破壊される企業、台頭する企業
・顧客とつながり、いい体験を追加
・サブスクリプション≠リース
・サブスクリプションが合わない業界
・中間業者は淘汰される
・b8ta シリコンバレー発・小売りを大転換するベンチャー
・5年後、特に危険な8業界
・資本があることはもう強みではなくなる
・大企業がベンチャーに食われないためには?
第2章 5年後にあなたの仕事はこう変わる
・5年後、必須の5つのスキル
・なくなる業界にいる人はどうしたらいいか?
・スペシャリストは淘汰される
・「オンリーワン×ニーズのある」タグをつくる
・好きなことだけでも、社会のためだけでもいけない
・ストラクチュアル・ホールになる
・どんな人とつながりをつくるべきか?
おわりに
山本 康正(やまもと・やすまさ)
1981年、大阪府生まれ。東京大学で修士号取得後、米ニューヨークの金融機関に就職。ハーバード大学大学院で理学修士号を取得。修士課程修了後グーグルに入社し、フィンテックや人工知能(AI)ほかで日本企業のデジタル活用を推進。日米のリーダー間にネットワークを構築するプログラム 「US Japan
Leadership program」フェローなどを経て、2018年よりDNX Ventures インダストリーパートナー。自身がベンチャーキャピタリストでありながら、シリコンバレーのベンチャーキャピタルへのアドバイスなども行う。ハーバード大学客員研究員、京都大学大学院総合生存学館特任准教授も務める。著書に『次のテクノロジーで世界はどう変わるのか』(講談社)、『シリコンバレーのVC=ベンチャーキャピタリストは何を見ているのか』(東洋経済新報社)がある。