アメリカの罠 トランプ2.0の衝撃

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イアン・ブレマー (著), ポール・ダンス (著), ポール・クルーグマン (著), ジム・ロジャーズ (著), ジョン・ボルトン (著), ジャック・アタリ (著), ジェフリー・サックス (著), ユヴァル・ノア・ハラリ (著), 大野 和基 (著)

アメリカの罠 トランプ2.0の衝撃 (文春新書) 新書 – 2024/8/20

2024年の夏、大統領選挙直前の「もしトラ」披露会です。いろいろ有名な方々の意見を聞くという本です。
まさに多士済々。トランプ賛成派、トランプ反対派の両サイドから意見を出しています。
 一番の有名人はやはりユヴァル・ノア・ハラリでしょうか。彼はユダヤ人の歴史家です。彼は歴史家の視点から「もしトラ」を見ています。歴史に必然性はない、因果関係はないという立場から「もしトラ」は予測不能としています。ただし、人類の脅威が進展することは間違いないとの見方です。要するに、だれがアメリカの大統領になったからといって歴史の流れを変えることはないとの考えでしょうか?
 ジャック・アタリもかなりの有名人です。個人的には「やっぱりフランス人だなー」と思うような内容でした。具体的には中国脅威・アメリカ蔑視・戦争辞さずの三原則です。フランスは先の大戦ではこっぴどい負け方をしましたが、「最終的に勝った」という意識なのかなと思います。自由が最初に生まれたヨーロッパの国ですがやはり流血を辞さない国民性?はありそうな気がします。稲作の農耕民族かつ儒教の世界観とは少し違う感覚かもしれません。
 読んでいて以外に思ったのはジョン・ボルトンです。報道のイメージからするとかなりのタカ派でとんでもじーさんかと勝手に思っていましたが、やはりそれなりの地位まで登るような思慮深い方だなと思いました。内容はどちらかというとトランプ個人の資質に対する不安が大きいようでした。軍事的かつ外交的にプーチン、金正恩、習近平にうまく誘導されてしまいアメリカの国益を損なう危険性が高いとみています。その原因はトランプの個人的資質にあるような意見です。元々、トランプのスタッフだったのですが今は距離を置いて批判する立場なので当然かもしれません。
 それぞれが、自分の専門分野の視点で「もしトラ」を語るのは割と面白い本でした。2025年6月に答え合わせをしながら読むのは反則かもしれません。楽しんで読めました。

アメリカの罠 トランプ2.0の衝撃 (文春新書) 新書 – 2024/8/20

説明
破壊者か? 救世主か?
アメリカ大統領選後の世界を8人の知性が徹底分析

トランプが再選したら、世界はどうなるのか?
数々の疑問に8人の賢者が答える。

・南北戦争以来、かつてない憲法上の危機が発生
・公務員制度を変えて、「闇の政府(ディープ・ステート)」を一掃する
・FRBの独立性を剝奪しようとする
・「プロジェクト2025」は連邦政府を改革する運動だ
・アメリカはリセッションに入り、金融危機に
・投資家や富裕層に有利な政策が実行される
・米軍は有事の際に日本を助けるのか?
・ヨーロッパの安全保障は大惨事に
・トランプは戦争が嫌いなのか?
・プーチンや習近平はトランプをどう見ている?
・日本は核兵器を持つことになる
・世界中で「底辺への競争」が起きる

「独裁者にはならない。就任初日を除いて」。
そう発言したドナルド・トランプ前米大統領が再選される可能性が高まっている。「もしトラ」後の世界はいったいどうなるのか。間近で見てきた人物をはじめ、文明史や経済学などの観点から8人の知性が分析する。

大野和基
1955年、兵庫県生まれ。東京外国語大学英米学科卒業。コーネル大学で化学、ニューヨーク医科大学で基礎医学を学ぶ。現在、医療問題から経済まで幅広い分野に関して世界中で取材を行う。『代理出産―生殖ビジネスと命の尊厳』(集英社新書)、『マイケル・ジャクソン死の真相』(双葉社)などの著書、『そして日本経済が世界の希望になる』(ポール・クルーグマン/PHP新書)などの訳書がある。



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