逆説の日本史1 古代黎明編

☆☆☆☆

井沢 元彦

逆説の日本史1 古代黎明編(小学館文庫): 封印された[倭]の謎 (小学館文庫 R い- 1-1) 文庫 – 1997/12/5

 さすが小説家と思わせる歴史書です。読んで面白い。
既存歴史学者の証拠主義・呪術軽視・宗教軽視を痛烈に批判しています。
もともと、歴史というのは事実かどうかを確かめるのが難しいものです。そのため、言い伝え、推測より文書などの証拠を重んじる傾向があってよいと思います。しかし、作者はそこに傾倒しすぎていると批判しています。おそらく、既存の歴史学者は作者は小説家なので何も感じていないと思いますが、私も作者に共感した部分もあります。日本史でいわれる「空白の4世紀」を推理しています。
 小説家なのですべて筋が通っています。一連の流れに矛盾がありません。ただし、矛盾がないからといって真実とは限りません。現代の人々があれやこれや歴史の真実を求めることが尊いことで真実は明らかにならなくても良いような気がします。古墳調査を許さない宮内庁にも言い分があると思いますし、天皇家の過去を明らかにすることも大事だと思いますが、憲法にも「象徴」とされている存在の過去の家系やご先祖様のことは不明瞭でミステリアスな方が「象徴」らしくていい気がします。
 アマテラスオオミカミが卑弥呼だ。面白い推論です。楽しい本でした。

逆説の日本史1 古代黎明編(小学館文庫): 封印された[倭]の謎 (小学館文庫 R い- 1-1) 文庫 – 1997/12/5

説明
日本人の「わ」の精神のルーツはここにあった

「卑弥呼は天照大神だった!」日本史の常識を覆す大胆な推理で知的興奮を喚起したあのベストセラー初の文庫化。本書では、日本史の総点検をめざす著者の問題意識を読者に投げかけることから始まる。従来の歴史アカデミズムには大きな欠陥があると著者は説く。史料、記録だけが歴史ではない。人間が人間として生きていた時代を今に甦らせるために今必要なことは人々の自由な発想、想像力であると。解説・藤岡信勝。

井沢 元彦
昭和29年、名古屋市生まれ。早大法学部卒。TBS入社後、報道局放送記者時代『猿丸幻視行』で第26回江戸川乱歩賞受賞。その後退社し執筆活動に専念。歴史推理・ノンフィクションに独自の世界を開拓



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