☆☆☆☆
小林武彦

生物はなぜ死ぬのか (講談社現代新書 2615) 新書 – 2021/4/14
「生物はなぜ死ぬのか」と言う問題は哲学的に考えるといろいろと考えどころがあります。科学的というか生物学的に考えれば、年をとったら死ぬということです。
私もだいぶ年を重ねまして老人と言われる年頃になっております。そうなるとだんだん死というものが身近になってくるものです。おぼろげにそのうち死ぬんだなと思っています。この本を読むと死ぬということの意味が今まで思っていたことと少し変わってきます。
どんな風に変わるかというと種は個体が死んで新しい世代になるごとに突然変異を起こして進化して行きます。ということは個体が死なないと進化しないということになります。私たちの子供はニュータイプです。その子供はさらにニュータイプです。この流れで行けば私はオールドタイプです。オールドタイプの遺伝子が生存していると種の進化は遅くなるのではないでしょうか。種の進化のメカニズムの一つの過程として私を考えると、私の子供のニュータイプが進化の先をいきます。まあ救いどころのない話ですけど、「利己的な遺伝子」の考え方はこんなんじゃなかったでしょうか。私たちは遺伝子の乗り物、遺伝子は種が存続する限り突然変異を起こし進化して行きます。まあそうやって考えると、私の人類という種の個体としての役割は終わってますね。だからといって死なきゃいけないわけじゃないんです。今後も気楽に生きていこうと思います。
生物はなぜ死ぬのか (講談社現代新書 2615) 新書 – 2021/4/14
説明
すべての生き物は「死ぬため」に生まれてくる。
――「死」は恐れるべきものではない。
【死生観が一変する〈現代人のための生物学入門〉!】
なぜ、私たちは“死ななければならない”のでしょうか?
年を重ねるにつれて体力は少しずつ衰え、肉体や心が徐々に変化していきます。
やむを得ないことだとわかっていても、老化は死へ一歩ずつ近づいているサインであり、私たちにとって「死」は、絶対的な恐るべきものとして存在しています。
しかし、生物学の視点から見ると、すべての生き物、つまり私たち人間が死ぬことにも「重要な意味」があるのです。
その意味とはいったい何なのか――「死」に意味があるならば、老化に抗うことは自然の摂理に反する冒涜となるのでしょうか。
そして、人類が生み出した死なないAIと“死ぬべき人類”は、これからどのように付き合っていくべきなのでしょうか。
遺伝子に組み込まれた「死のプログラム」の意味とは?
■主な内容
・私たちは、次の世代のために“死ななければならない”
・恐竜が絶滅してくれたおかげで、哺乳類の時代が訪れた
・宇宙人から見た「地球の素晴らしさ」とは
・地球上で最も進化した生物は昆虫である
・遺伝物質DNAとRNAの絶妙な関係
・「死」も、進化が作った仕組みである
・ヒトだけが死を恐れる理由
・若返るベニクラゲの不思議
・超長寿のハダカデバネズミは、なぜがんにならないか
・ヒトの老化スピードが遅くなっている理由とは?
・「若返り薬」の実現性
・少なめの食事で長生きできる理由
・老化細胞は“毒”をばらまく
・テロメアの長さと老化は関係ない?
・生物学的に見ると、子供が親よりも「優秀」なワケ
・ヒトが生きる目的は、子孫を残すことだけではない
・“死なないAI”を生み出してしまったヒトの未来
・有限の命を持つからこそ、「生きる価値」を共有できる
――生命の死には、重要な意味がある。
第1章 そもそも生物はなぜ誕生したのか
第2章 そもそも生物はなぜ絶滅するのか
第3章 そもそも生物はどのように死ぬのか
第4章 そもそもヒトはどのように死ぬのか
第5章 そもそも生物はなぜ死ぬのか
小林 武彦
1963年生まれ。神奈川県出身。九州大学大学院修了(理学博士)、基礎生物学研究所、米国ロシュ分子生物学研究所、米国国立衛生研究所、国立遺伝学研究所を経て、東京大学定量生命科学研究所教授(生命動態研究センター ゲノム再生研究分野)。前日本遺伝学会会長。現在、生物科学学会連合の代表も務める。生命の連続性を支えるゲノムの再生(若返り)機構を解き明かすべく日夜研究に励む。海と演劇をこよなく愛する。著書に『寿命はなぜ決まっているのか』(岩波ジュニア新書)、『DNAの98%は謎』(講談社ブルーバックス)など。。